「空、秋めいてるね」
「そうですか?」
「うん、何だか霞んでいて、きれい」
「…はぁ…」
「あ、ねぇ、白鳥って花嫁さんみたいだよね」
「……?」
ぼくはさんに返す言葉が思い浮かばなくて
首を傾げる事で返事をする。
その仕草を見て彼女はへらりと笑い
「だって真っ白じゃない」と白鳥を瞳に映した。
難解なモノを解くは他人より得意だ。
だけど、彼女の言葉に対しては頭が働かない。
もちろん言語は解っているけど発想が理解できないんだ。
その事が少しだけ、いや、だいぶ悔しいくて
自分の殻に閉じこもっていたけれど
不意に手を包み込まれ、殻から柔らかく引き出される。
「ジェイくんの肌は、同じ白でも、雪みたいだね」
温かだった感覚がフと冷めたのを感じた。
彼女の発想は理解できないと思ったけれど
今の言葉の意味は良く分かる。
(キサマの雪色の肌は死人みたいだ)
幼い頃に何度も、釘を刺す様に、雨の様に言われたから。
まさか、彼女に言われるとは
言われた自分がこんなにも傷つくなんて。
困惑や驚きが溢れて目眩がする。
「雪にも色々あるけど、初雪かな」
「ふんわり落ちてきて、包み込んでくれる感じ」
予想外の言葉が耳に届き、揺らいだ視界がゆっくりと定まる。
「白いのに温かいのよ、不思議だよね」
不思議と言った彼女が一番不思議だ。
だって、僕が知っている雪の白と
彼女の思う雪の白さはこんなにも違う。
「riselied 〜1人と2人の決定的な違い」
そして、そのさんの不思議さは
いつかぼくのモノクロの世界でさえ
鮮やかに塗りつぶすのだろう。
2010/11/08
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